タグピン

【タグピン】

この子、タグピンという名前だそう。

数年前の夏のある日、朝目覚めてふと掛けているタオルケットの足元の方を見ると、この子がピョコっと立ってささってた。

そのタオルケット、前年から使いはじめて2シーズン目だったのに、値札は取って、この子だけ切り外し忘れていたらしい。

で、つきっぱなしだと見つけた瞬間、朝の白い光を浴びているその子が「僕、ずっとここにいたんだよっ、気づいてくれたね。」と言った気がして、そしてジワ〜っと涙が滲んてきた。

こういった沢山あってぞんざいにされる、なんなら役に立ってるのに邪魔くさいと感じられ、無意識に捨てられるような存在などが、とても愛おしい。

人々に大切にされやすい存在は、大切にされてるから気にならない。

一所懸命なのに注目もされずほっとかれてるような存在、そんな存在たちのことを美しくて愛おしいと感じる。