【飯台(はんだい)】
何もかも生活のやり直しだ
引き揚げて五年目
やっと飯台を買った
あしたの御飯はおいしいねと
よろこんでねむった子供たちよ
はや目をさまして
珍しそうに
楽しそうに
御飯もまだ出来ないのに
自分たちの座る場所を
母親にきいている
わたしから左回りして
梨恵子
佐代子
妻
真美子の順である
温かいおつゆが匂っている
おいしくつかった沢あん漬けがある
子供たちはもう箸をならべている
ああ
飯台一つ買ったことが
こうも嬉しいのか
貧しいながらも
貧しいなりに育ってゆく子の
涙ぐましいまで
いじらしいながめである
(詩・坂村真民/画・殿村進/まごころの本より)
@jidai_terase



